「花の夢」~ある中国残留婦人~

2012年9月1日 19時13分 | カテゴリー: 活動報告

8月26日、江東区総合区民センターでドキュメンタリー映画「花の夢」の上映会と

映画に出演されている、江東区在住の栗原貞子さんのお話しがありました。

 この映画は栗原さんの人生を振り返るとともに、二人の娘さんの話しや中国で共に生きた人たちを訪ね、当時を語った、ひとりの中国残留婦人の実話です。

 『棄民』『人民の防波堤』…、初めて耳にする言葉に衝撃を受けます。

 「お国のために!」と、胸を弾ませた18歳の乙女。「8か月間の訓練を終えたら、日本に戻れるから」と、村長や校長先生に勧められ渡った満州国では、見知らぬ日本人の開拓民と結婚し(結婚しなければ憲兵隊が日本に連れてゆくと、脅されて)身ごもった頃、夫は徴兵され帰らぬ人に。そして終戦。

「ここには、ソ連兵が攻めてくるから3日分の食糧を持って直ちに避難せよ!」その言葉を残し、今後を指揮する人間は誰もいなくなる。

同じ村人ら(身重であったり、赤ん坊やこども、老人を抱えた女性たち)と逃げる日々。

やがて日本人難民の収容所に収容される。その後ソ連軍兵舎へ移送されたが、脱獄。さまよった末、貧しい農家に逃げ込む。その農家の男性(身重なからだの自分の行く末を案じ、先に決まっていた縁談を断る)と結婚し、出産、子とともに救われる。…

壮絶な人生です。67年前にこのような辛い経験をした女性たちが大勢いたことを、実感するとともに、わたしが「中国残留婦人」と捉えていたものと、実際に経験された方から語られる事実は、かけ離れていて、何も知らず、知らされていなかったことに改めて気づきます。

 上映前、会場に行くエレベーター内でご一緒した初老の男性が「私も同様の体験をしていますが、とても辛くて人には話せません。栗原さんは、語ることが出来て凄いです。そのことだけでもお伝えしたくて…。」と仰って会場に向かわれました。

 上映後、会場で栗原貞子さんと,次女の優子さんのお話を伺いました。

 貞子さんは、「あの大きな大陸で知人は誰もいない、たったひとりきりでした。でも、大地いっぱい咲く花たちを見て、生きていこうと思いました。もう一度、あの大きな心優しい中国の大地と、大地に咲く花たちに会いたいです。」と語り

日本に帰国し、辛い少女時代を過ごした次女の優子さんは「世界平和を願い、みなさんとつながりたいです。世界平和を一緒に発信してください。」と会場全員に語りかけました。

 貞子さんが語る、日本に帰国してからの、中国残留婦人への国の対応と、現在、福島等で被災された方たちへの対応が重なります。

 辛い事実はその辛さのため、語ることも、聞くことも辛く消えてしまいやすい。それでも、二度と繰り返さないために、辛さを乗り越え、語り継ぐことの大切さを感じます。

 事実だと思い込んでいて実は違うものが、たくさんあるのではないでしょうか?

 事実は体験した方のみが知っていて、謙虚にその声を聞くとともに、いかにも事実のようでそうではない情報に惑わされないよう、常に気を付けたいです。

 辛さを乗り越え真実を語る、お二人に出会えたことに感謝しつつ、多くの方に映画 「花の夢」を見ていただきたいと心から願います。